■減圧症について --はじめに--
講習で習うので、「減圧症」という言葉を知らないダイバーはいないと思います。
でも、よほど無茶をしたか、予想外の事故でしかならない、他人事だと思っていませんか?
最初はおそるおそるのダイビングも、慣れてくると、
「ちょっと危なかったかな」と思っても、運良くOKで終われば、これでも自分はいけると思ってしまい「悪い知識・経験」として積まれてしまうことがあります。
現在の医学で、減圧症の全てが解明しきれているわけではなく、罹患して完治しないまま、長年不安で辛い思いをされている方もいらっしゃいます。日常生活にも支障をきたします。
そんな危険と隣り合わせでも、やっぱり潜りたい!(個人的意見)
ダイビングを、不安なく、より楽しむためにも、減圧症のことをもっと知って、予防のため自分でできることは積極的に行いましょう!!
昨秋、ダイビング後の高所移動で減圧症を発症しました。ガイドも同行していて、約10人が同じ行動をして異常を感じていないのに、です。2回チャンバーに入り、2ヶ月半ドクターストップがかかりました。それまで他人事だと思っていました(反省)。
個人差があり、勉強不足だったことも災いしたと思っています。
この投稿は、
統計的に見て減圧症の発症の確率が低いと言われている行動に徹するためのものです。
みなさんの参考になればと思いますが、私自身まだそんなにダイビング歴も長くないので、偏ったものになっているかもしれません。アドバイスやご意見があればお寄せください。
以下、拡充予定です。
・・・なかなか執筆活動がすすみませんので、
思いついたことから・・・すみません。
■なぜなるの?
体の組織や体液に溶けていた気体が、環境圧の低下により体内で気化して気泡を発生し、血管を閉塞して発生する障害の事である。酸素や二酸化炭素は、呼吸により速やかに排泄されるので減圧症を発生させることはほとんどない。通常問題になるのは窒素。高圧環境下で体内に溶け込んでいた窒素が、急浮上などにより急速に周囲の圧力が低下することにより気泡化するケースが典型的である。
要するに、圧縮空気の中で、特に窒素は対外に排出されにくく、
気泡を作って体に悪い影響を及ぼすということですね。
また、急速な圧力の(深度の)変化も大きな要因になります。
体質によって、減圧症になり難い方と、そうでない方がいると思います。
また、どんな場合や条件でなりやすいかは、以下の対策と重複するので、そちらをご覧ください。
■減圧症対策【モグる前】
私見で、偏っているかもしれませんが、みなさんに気をつけていただきたいことは・・
☆前日までの体調管理と十分な睡眠
前夜はけっこうワクワクして寝付けなかったりするのですが、
早めに準備を済ませて就寝するようにします。
深酒もつつしみませう。
☆予習
行ったことのないポイントは特に予習しましょう。知っている場所でも最低限 天気予報と水温はチェックしておきましょう。
寒さも減圧症発症の要因と考えられています。快適に潜るためにも装備を考慮しましょう。
当日の海況その他にも左右されますが、基本的には1本目→2本目→3本目・・・と深度のプロフィールが浅くなっていくように
こころがけましょう。
☆
とにかく水分をとる。
ダイビングの日は前後で2Lの水分を摂りましょう!と提言している方がいます。血流がドロドロだとマイクロバブルの核になる、とか血管が詰まりやすい、という説があります。
私も1Lは飲むようにしています。
おすすめは水、スポーツドリンク、そば茶などです。
甘いものは太るし(笑)コーヒーやお茶などは利尿作用があるので・・・(特にドライスーツの時は・・・)
☆コレステロール??
血中コレステロールを除去して血流を速やかにし、減圧症の予防につなげよう!という説もあります。
その点では、肉よりはDHA,EPAを含む魚を摂取するようにしましょう。ま、きりがありませんけどね。
☆ショップやガイド任せにしない。
ついていけば大丈夫。と思ってはいけません。個人差もありますし、本人にしかわからない当日の体調変化もあります。ダイビングは基本的に自己管理・自己責任が必要です。
ブリーフィングかその前に、気になることは質問しましょう。
私自身、予定の最大深度は聞くようにしています。
自分にとって深すぎると思った場合は、申告して中層で待機するようにしています。
■減圧症対策【モグり中】
一般的に言われている減圧停止など以外に、個人的な経験で・・・
☆−5mでの安全停止中にできること
じっとしているより動いている方が窒素の排出を促します。
体温の低下を防止するという面からも、毛細血管の収縮を防ぎ、窒素の排出に効果があります。
窒素は手や足先に溜まりやすいそうなので、足の指を動かしてみたり、手をグーパーグーパーと動かすと効果があるそうです。
☆減圧症関連の記事で最近見かけるのですが、
安全停止後、最後の浮上(−5m→水面)スピードが重要!とのことです。タンクが軽くなって浮きやすくなっていることや、気の緩みなどで、すすーっと浮上してしまいがちですが、こここそ注意してください。
実は、一番圧力変化の大きいのがこの5mから水面までの間なのです。いくら、それまでが安全なダイビングであっても、最後に急浮上してしまうと減圧症に罹患する可能性が高くなってしまいます。
安全停止からの浮上に最低30秒以上掛けて浮上する事をお勧めします。5mから30秒掛けて浮上して、浮上速度は毎分10mです。 安全の為、減圧症を予防する為にも是非、安全停止からのゆっくりとした浮上を実践してみて下さい。
タンク圧が下がって浮力が増した状態で浮き上がらないウエイト量の確保と、その状態でのほぼ完璧な中性浮力スキルで極められます!う〜ん、奥が深い!
■減圧症対策【モグった後】
☆
さらに水分をとりましょう。
☆激しい運動は避けましょう。EXIT直後に器材を装着したまま歩いたり、階段がある場合、ゆっくり行動しましょう。
☆
高所移動に気をつけましょう。ダイビング直後の山越えは、気圧変化により減圧症の危険が高まります。伊豆ではこれが原因での減圧症罹患者がとても多いのです。
止むを得ず山越えで移動する場合は、少なくとも数時間(できるだけ長い時間)は休息をとった後、できるだけ標高の低い道路を選択して移動しましょう。
西伊豆→関東方面の場合、箱根越え(国道1号最高地点874m)は論外!
標高が高い地点 東名高速・・・御殿場IC付近(454m)
熱函道路・・・熱函トンネル付近(423m)
まで、個人的にはEX後4時間以上でこの最高地点を越える、を目標にしています。
参考までに、修善寺〜西伊豆の戸田の修善寺戸田線戸田峠で760m、修善寺〜土肥の国道136号線船原峠で490m、大仁〜宇佐美の亀石峠で450m、伊東〜修善寺の冷川(ひえかわ)峠で360mだそうです。(https://moguring.up.seesaa.net/doc/HYOKO.pdf)
■もしかして?【兆候・症状】
☆ダイビング中の急浮上、減圧関係で、
EX直後に発症するといわれている型の減圧症・・・◇
☆高所移動などにより後から発症する型の減圧症・・・◎
◇◎腕や脚がピリピリする。もしくはスースーする。
日に焼けた後のようにチリチリした感じ。
◇?◎頭痛。頭全体が重い感じもしくは膨張する感じ。
◎いつまでも耳の違和感がなくならず、頭痛と連動する。
◇◎関節が痛い。
◇◎倦怠感
◎全身の筋力低下→筋組織がダメージを受けている。
■緊急時連絡先
■減圧症に関しておすすめサイト
減圧症メーリングリスト★治療中の注意点
減圧症メーリングリストより
・再圧治療後、2週間は飛行機搭乗は禁止。飛行機搭乗でなくても、1000m級の高所移動は悪化の可能性があるので、避けたほうが良い。
・1000m級でなくても、気圧の変化で症状が悪化する場合がある、自分の体と相談して、症状が治まるまで高所移動や、超高層ビルの高層階への移動を控えたほうがよい場合がある(私の場合、先生に最低1ヶ月は関東平野から出るなと言われました。つまりは自動車での山越えも良くない?)
・再圧治療直後の飲酒は避けたほうがよい、悪化する事があるから、という体験が罹患者から寄せられています。 また、風呂など体を温めると症状が悪化するケースも報告されています。
■復帰に関して
減圧症メーリングリストより
・個人差もありますが、推奨されているのは再開の時期は治療終了後6ヶ月ではありません。症状が消えてから6ヶ月、です。(私は再開がちょっと早すぎたかと思っています。今だったらもうちょっと待つかも・・・)
・減圧症は10m以浅では発症しないといわれていますが、再発の場合はこの限りではありません。数メートルでも発症しています。一度減圧症になったら、今までと同じように潜れる、と思わないでください。
・復帰ダイビングは、いきなり通常のファンダイブに参加せず、「復帰用の特別なプロファイル」でダイビング復帰を試みましょう。
山見先生が考案された「
復帰プログラム」が紹介されています。
それによると、
■12ステップ、もしくは6ステップを経て復帰する。
■各ステップは1週間以上開ける。
■一例:
ステップ1 最大水深10m 最大滞底時間20分 潜水後休息時間4時間(1日1本)
ステップ2 最大水深15m 最大滞底時間20分 潜水後休息時間4時間(1日1本)
:
ステップ12 1本目最大水深25m 最大滞底時間20分 潜水後休息時間2時間30分
2本目最大水深15m 最大滞底時間20分 など
すべてのステップの潜水は体内残留窒素が(ダイブテーブルで)Fを越えないようにする。
■プログラム実施日最低1週間前から体調を整え、前日は6時間以上の睡眠をとること。
■ダイビング終了後は300mを越えないルートを選択して移動すること。
■ダイビング終了後一週間は飛行機搭乗しないことを留意する。
そしてこんなに厳しいプロファイルでも、「このプログラムは「再発しないプログラム」ではありません。あくまで「しにくい」もしくは「再発したとしても軽くて済む」プログラムです。」と書かれています。
再発率は復帰を試みた人のうち約 16%、つまり、6人に一人は再発していると言われているそうです。残念ですね。
私自身、再開後は発症前より睡眠、水分摂取、深度管理、浮上速度など、いろんな事に気を遣うようになりましたが、それでも体調によっては多少の痺れは出ることがあります。
自己責任ですし、自分の身体のことは自分でないとわかりませんが、ダイビングはシュミの一つですから、無理をしない範囲で楽しみたいですね。